読み物とリズムと音楽

読みやすい文章と,とても読みにくいと感じる文章があります。

挙げればキリがないほど沢山の要素があるわけですが,その中でかなり重要なのは,リズムなのだと僕は思っています。どんなリズムで文章を書いているか,それが読み手にはっきりと伝わるということです。

このことをきちんと意識するようになったのは,村上春樹の雑文集を読んでいるときでした。


音楽にせよ小説にせよ、いちばん基礎にあるものはリズムだ。自然で心地よい、そして確実なリズムがそこになければ、人は文章を読み進んではくれないだろう。

このように村上さんは述べています。

モノ書きには,音感が大切だということをしみじみ感じます。好きな音楽をたくさん聞いて,自分のしっくりくるリズムを持っていて,それが意識されていると,文章にテンポが生まれてくる。日本語として正しいか,とか,意味の説明があってるか,とか,内容に深さがあるか,とか,そういうのは後からなんですよね。

聞いていて気持ちいい,っていうのと,読んでいて気持ちいい,っていうのは何だか似ている。イヤフォンを通して耳から感じ取るのと,読み物を通して目から感じ取る違いのようなもの。

そして,文章というリズムの上に,全体の流れという音楽性を取り込むことができたなら。何気ない日常が文章で気持ちよく伝わる,そんなことができたら。

僕はモノ書きでそんなことも目指してみたいんです。