源斉先生と和食(特にお味噌汁の深さについて)

「口から摂るものだけが、人の身体を作るのです。」と,そう源斉先生は語ります。ええ,みをつくし料理帖の話です。(小説)

この時代小説本当にすごいなぁ。現段階での最終巻(7巻)を読み終えましたが,感情がぐわんぐわんと揺さぶられます。ストーリーの巧さがすごいです。そうか,お話の流れってこんなに人を惹きつけるものなのか。

そうやって惹きつけられると同時に,どんどん美味しい和食が食べたくなります。そして作りたくなります。なんて嬉しい小説なんでしょう。(僕が影響を受けやすいだけという話もありますが)

というわけで最近,秋刀魚の味醂干しとか鮭の西京漬けとか味付きの魚をグリルで焼くようになりました。(グリルはホイルを敷いて焼くようにして掃除の手間を省くことを知り,そうしてます)そして,お味噌汁を作って和食を頂いています。

一度は挫折した,基本的な家庭での和食作り。再チャレンジの時なのです。今回はどうもうまくいきそうな気配がしています。その変化をまとめてみたいと思います。

  • グリルでの魚焼きは洗うのが面倒で魚の匂いも残り,とても好きになれなかった。が,ホイル敷けば汚れないわ匂いも残らないわ,なんでこうしなかったんだろうと目から鱗のソリューション(解決策)でした。(グリルの使い方を覚えた)
  • 以前使っていた炊飯ジャーは,ご飯があまり美味しくなかった。が,先日圧力IHを買い替えたところ,とってもご飯が美味しくなってまた食べたくなる。冷凍ご飯も,炊きたてをすぐにジップロックのコンテナに入れて冷凍すると,解凍ご飯のクオリティがかなり高いことに気付いた。(ご飯がおいしくなった)
  • お味噌汁に適切な鍋がなく大きい鍋で無理やり作っていたので,思い通りにいかなかった。色々探して,お気に入りの行平鍋を購入したら,とっても作るのが楽しくなった。コンロに行平鍋を置いただけでたのしい。(新しい行平鍋GOOD)
  • お味噌汁の具には適当な野菜を放り込み,割と美味しく食べられることにようやく気付いた。どんな野菜でも,味噌汁の味は出汁と味噌の味が決めてくれるので,野菜のせいでまずくなることは滅多にない。大根や人参などの地中で育つ根菜類を水からゆっくり煮るとなかなかうまくいく。体に良いものを食べることが今日の自分や明日の自分の役に立つので,野菜を摂れるのが嬉しい。源斉先生の言うことを素直に聞いている気分になる。(味噌汁で野菜食べられる)
  • お味噌汁の情報を色々とネットで読んでいたら,「合わせ味噌どうするか」「出汁をどうするか」などいろんな情報があって,なかなか奥深さがあってやる気が出てきた。合わせ味噌用にタッパーを作って,何種類か味噌を入れておいて,どの加減でどんな味がするのか試してみるのも面白そうになった。といっても,今はまだ二種類だけだけど。出汁もかつおの細粒出汁を使っているけど,昆布出汁も合わせてみたら面白そうとか。それに,砂糖入れるとか,煮切り酒入れるとか,色々アイディアもあることを知った。(味噌汁って奥が深くて面白い)
  • 挫折した頃は20代前半だったが,今はそれよりだいぶ年を取っている。(年齢)
  • 味付けの魚を上手に焼くと,下手な肉より全然美味しい。(肉上等生活の変革)
  • 味噌汁と魚にもう一品冷蔵庫に入れておいた常備菜で食事として成立することを考えると,結構手間を省くことができそうだ。(意外と簡単に作る方法あることに気付き始めた)

という感じです。そしてここから思うことがあるのです。

「世の中の外食で,お味噌汁を選べないのはなぜか」と。

焼き魚定食だったとして,「今日は,赤みそで鰹出汁で豆腐の味噌汁がいいなぁ」という人がいて,「合わせだしでなめこの味噌汁飲みたい」という人もいて,「白みそでかぼちゃの味噌汁ないかな」という人がいてもおかしくないはずです。いや,絶対にいるはずだと思うわけなのです。

少なくとも「今日の味噌汁は**です」という表示ぐらいあってもいいではないかと。スタバに「今日の本日のコーヒーはハウスブレンドです」とあるような感じでね。そうやって,食べる前に舌が受け入れ態勢を作るわけなんですよ。もし,「三河湾直送の浅利の味噌汁(お代わりできます)」なんて書いてあったらテンション上がっちゃうでしょう?回転寿司の「あら汁無料」とはわけが違うのですよ。(あれはあれで美味しい時もあるけどね)

美味しいお味噌汁,これは死ぬまで付き合える趣味になりそうです。そのきっかけをくれた源斉先生と澪ちゃんに感謝ですねぇ。

ところで作者の高田さんは,みをつくし料理帖の8巻まで時間がかかりそうなことを書いてましたね。いやぁ,待ちますよ。しょうがないでしょう,ここまで素晴らしい小説が書かれているのですから,早く書いてくれなんて言って質を落とすようなことになったら大変です。日本小説界に影を落とします。(大げさか)

僕は次に北方謙三三国志に進む予定です。ええ,「目から摂る小説が,さらに人の身体を作るのです」よ。