結びに代えて:16の部屋を持つ静かな館について
こうして4つの指標をすべて辿り終えたとき、僕たちの手元には、アルファベットを組み合わせた16通りの「名前」が残されます。 それはある種の魔法の呪文のようでもあり、あるいはどこか遠い国の地図のインデックスのようでもあります。
しかし、ここで一度立ち止まって、深く呼吸をしてみる必要があります。 僕たちは、自分という人間をたった4文字の箱に放り込み、蓋を閉めるためにこの旅をしてきたわけではないはずだからです。
1. 僕らの中に住む、16人の住人たち
世界を16に分けるということは、本当はとても乱暴なことです。 人間という存在は、もっと捉えどころがなく、もっと矛盾に満ちています。朝には完璧な「J(判断型)」として整然とシャツにアイロンをかけていた人間が、午後にはどうしようもなく「P(知覚型)」な混沌の中に身を投げ出し、あてもなく街を彷徨うことだってあります。
僕が思うに、僕たちの魂はひとつの大きな「館」のようなものです。 そこには16の部屋があります。 「建築家」の部屋はいつも冷たい静謐に包まれ、「冒険家」の部屋の窓からは常に潮風の香りがしている。「守護者」の部屋には手入れの行き届いた暖炉があり、「指揮官」の部屋の机には広大な戦略図が広げられています。
僕たちが「自分はINTJだ」とか「ENFPだ」と言っているのは、その館の中で、自分が**「どの部屋に一番長く滞在しているか」、あるいは「どの部屋の窓から景色を眺めるのが好きか」**という好みの問題に過ぎません。 時と場合によって、僕たちは廊下を歩き、別の部屋のドアをノックし、そこでしばらく過ごすこともできるのです。自分の中に、自分とは違う16人の住人が眠っている。そう考えるだけで、この風通しの悪い世界が、少しだけ自由な場所に思えてきませんか。
2. 「正しさ」よりも「理解」を
MBTIという道具を手にしたとき、僕たちが陥りがちな罠がひとつあります。 それは、その4文字を使って他人を裁いてしまうことです。 「あの人は『T』だから冷酷なんだ」とか「彼は『S』だから想像力が足りない」とか。
でも、やれやれ、それは道具の使い方が少しばかり間違っています。 ハンマーは釘を打つためのものであって、誰かの頭を叩くためのものではありません。
この16の分類が存在する本当の意味は、「正しさ」を競うことではなく、「自分と他人の間にある絶望的なまでのズレ」に名前をつけることにあるのだと僕は思います。 僕たちが誰かと分かり合えずに立ち尽くすとき、その原因が「性格の悪さ」や「努力不足」ではなく、ただ単に「参照している辞書が違っていただけだ」と気づくことができれば、僕たちはもう少しだけ、誰かに対して優しくなれるはずです。
論理(T)のナイフで世界を切り分けようとする人の隣で、感情(F)の毛布で世界を温めようとする人がいる。そのどちらかが間違っているわけではなく、ただ「持ち寄った道具が違った」だけなのです。
3. 未完成な地図を抱えて歩く
16のタイプを俯瞰してみると、そこには美しい対称性と、それ以上に切実な「欠落」が見えてきます。 どのタイプも、何かに特化している代わりに、何かを決定的に持ち合わせていません。
完璧な人間なんて、どこにも存在しません。 もし完璧な人間がいたとしたら、それはおそらく、16の部屋のすべての窓を同時に開け、すべての椅子に同時に座ろうとして、自重で崩壊してしまった館のようなものでしょう。
僕たちは皆、欠けたピースを抱えたまま、この人生という長い旅を続けています。 そして、その欠けた場所を埋めてくれるのは、いつだって自分とは異なるタイプを持つ「他者」なのです。 内向的な人が静かに思索に耽ることができるのは、外向的な誰かが外の世界との扉を開けておいてくれるからかもしれません。直覚的な人が夢を見られるのは、感覚的な誰かが地面をしっかりと踏みしめて、生活という現実を支えてくれているからかもしれません。
4. やれやれ、コーヒーが冷めてしまう前に
さて、そろそろこの長い独り言も終わりにしなければなりません。 デスクの上のコーヒーはもうすっかり冷めて、カップの底に黒い澱のような影を作っています。
あなたが自分の4文字を受け入れたとき、それは「答え」ではなく「問い」であってほしいと思います。 「自分はこの部屋で、これからどんな物語を書いていくのか?」 「隣の部屋の住人と、どんな言葉を交わすことができるのか?」
MBTIは、あなたという人間を説明し尽くすものではありません。 それは、あなたが自分自身の複雑さを愛し、他人の不可解さを尊重するための、入り口に過ぎないのです。
結局のところ、僕たちがこの地上でできることは、自分のタイプの限界を知り、その限界の向こう側にある誰かの気配に、そっと耳を澄ませることだけなのかもしれません。
さあ、ペンを置いて、窓を開けましょう。 外には、16通りの光と影が混ざり合った、名前のない本物の世界が広がっています。 そこには4文字のコードだけでは決して記述できない、あなただけの、たった一度きりの人生が待っているはずです。
