日本人の優位性をどうやって活かすか

とある外国語の勉強をして、英語を再度やろうと思ってみて、体感で改めてわかったことがあります。

日本人は読解に強い、ということです。どこかの誰かが発信したものをキャッチする能力が高いということです。これは逆に言うと、自分で主体的に考えて発言をするのが苦手だということも暗示しています。他の人が書き記したものを見て、それを何とか読解しようとし、その意図を汲み取ろうとする努力をすることに、日本人はとても長けています。

例えば、鉄の溶鉱炉を作るのに、オランダの書物を解読して、江戸時代に日本人は日本製の溶鉱炉を作っています。まだ日本が英語の文化を拒んでいたころ、許可されていたのは長崎の出島にいたオランダでした。一度信長の時代にカトリックが入ってきましたが、日本人に与える影響があまりにも大きく、不安定になることを恐れて日本は英語圏の人間を追い出しています。オランダは、自分たちがプロテスタントであることを強調し、宗教の影響がないことを説得し、引き続き日本との交流を続けていたのです。

ほんのごくわずかな情報しかないと、何とかその情報から多くのことを知ろうとする。そんな特性が日本人にはあります。より関心が強まるのです。反対に、情報が溢れすぎていて、誰にでも簡単に手に入るようになると、少々関心を失います。

異国の文書。蘭学。日本が何とかしてそこから学ぼうとした。そして、実際に学んでしまった。解体新書、平賀源内、杉田玄白。

他の人が見つけ、考え、書面に書き記したものがあれば、日本人はそれをいつも吸収します。してしまいます。

英語から学ぼうとした明治時代になって、日本で興った大学はその存在そのものが、「他国に英語で存在する情報を、母語の日本語で、ありとあらゆる最先端の情報に触れられるようにする」という目的を持っていました。

これもまた、日本で新たなことを考えるのではなく、世界にある文章化されたものを解読して、日本に土着化させるという作業でした。

日本はこれからも、世界で起きるどんなことでも、書き記された文章さえあればそこから解読を行い、日本語化をし、日本に吸収させてしまうことでしょう。

それは逆に言えば、日本が世界をリードすることの難しさを言っています。

僕はこの2年半で、これまでに会うはずもなかった沢山の外国人と出合ってきました。アメリカ人、イギリス人、オーストラリア人、タイ人、ベトナム人、中国人、韓国人、スウェーデン人、デンマーク人、ミャンマー人。

彼らの発信力、交渉力、語学力に触れると、日本人というのがいかに世界で浮いているのかがよく分かります。発信側と受信側と言ってもいいほどです。とても日本人は独特なのです。良い意味でも悪い意味でも、他にこういう国民は少ないのです。

NewsPicksというサービスがあります。日本人による、日本語での、ニュースの討論サイトです。僕はそこに、日本人が世界で戦うヒントのようなものを感じます。

2chが日本人の裏側だとすれば、これは日本人の表面です。日本で起きているあらゆること、そして世界で起きているあらゆること、その事実(事実をファクトとか言い換えないでほしい)をまず日本語ですぐに知ることができて、その出来事に対してそれなりに経験と知識がある人たちがどんどん日本語で情報を寄せていくのです。

そうすることで、今起きていることとその分析を日本人はとても素早く共有できます。性格の違いゆえに考え方の方向性はいくつか分かれますが、それでも「無知」をかなり避けることができています。「知らないせいで、間違った見方をしていた」ということが減るのは大事なことです。

出来事が起きる→経験と知識のある人たちが素早く情報を寄せる→妥当な見方が分かる→取るべき方向性が見えてくる→それを日本人が共有する

たぶんこれは、日本人が日本語でやるからうまくいくと思います。英語圏の人たちが英語でやることも、きっと意味はあるでしょう。けれども、こういうことが世界で一番得意なのは日本人だと思われるのです。

僕らは、僕らの得意分野を生かして世界と戦える。