渋沢栄一と岩崎弥太郎に見る組織論。みんなで決めるか、ひとりで決めるか。

#堺屋太一の「日本を創った12人」から渋沢栄一を読んでみたことが題材になっています。

組織論というのはとても面白いと思います。どんな組織が理想的なのかということです。日本人にとって、どんな組織だとうまくいくのかという理想論をみんながそれなりに持っているというのは悪くないと思います。それで喧嘩したら意味がないですが。

すごく大ざっぱに言って組織論とは、「一人のトップがすべてを決め、家来がそれを支持する」というトップダウン方式と、「みんなで考えて、みんなが納得できる方法を採用する」というボトムアップ方式の混ぜ具合です。

独裁国家というのは、一人の人が国の政治をすべて決めていく方法。超トップダウンです。ワンマン社長・ワンマン会社というのもあります。会社にまつわるすべてのことを社長が決めていく方法です。トップダウンに偏ると、とっても良い側面と悪い側面があります。

トップダウンの良いこと、それは、トップの人間の優秀さが思う存分発揮されるということです。どのくらい考えるか、どのような決断をするか、それをトップ一人の一存で決めることができます。他の人に遠慮する必要がありません。仮に世界で一番優秀な人がいるとするなら、その人を組織のトップに置いて、完全なトップダウンを作れば、ほぼ間違いなく他の会社よりも業績を上げることができます。

これを考えれば、トップダウンの悪い面はすぐにわかるはずです。それは、トップの人間の失敗を防ぐことができないということです。一つの決断が、ある意味でうまくいくけど、ある意味では失敗したり被害を被ったりしますが、それをすべて受け入れなければならないということです。高リスクハイリターンといえるでしょう。

ボトムアップの良いこと、それは、みんなで考えるので、切り捨てられてしまう人が少なくなり、組織の決定で失敗する可能性が断然減るということです。最大公約数的な決着を常にします。がっかりする人が少ない方法です。無難な方法です。守備に強い組織といえるでしょう。うっかりミスはほとんどありません。決定するまで時間がかかり、急な変化をもたらさないので、みんながついていきやすいという利点もあります。

ボトムアップの欠点、それはまず何よりも、検討するのに時間がかかるということです。時間がかかりすぎるので機会損失をする可能性があります。さらに、良いアイディアがつぶされてしまって、平凡なアイディアになってしまうことが多くなります。良いアイディアというのは大抵奇抜な側面を持っていて、そのアイディアに対して多くの人の意見を集めようとすると、保守的な人たちから否定的な意見が述べられますので、まわりを驚かせるような一手を打つことが組織としてできなくなります。だいたいいつも他と同じようなアイディアを持つことになります。

日本の企業がどうしてiPodを作ることができなかったか。iPadを作れなかったのか。それは、ボトムアップが強かったからです。Appleにはスティーブジョブズの独裁政権というトップダウンがありました。彼が思う存分会社を動かすことができた。どんなに別の意見が出てきても、彼は「俺の作りたいものはこれだ」といって、こだわりぬき、曲げなかった。その結果として世界を変える製品は生み出されたのです。

日本の明治時代、事業家として名高い、渋沢栄一と岩崎弥太郎がいます。まさにこの二人は、ボトムアップとトップダウンの激突だったと言えるでしょう。渋沢さんは、資本家たちがお互いに資本を出し合い会社を支えあい、業界標準をみんなで作り、商工会を作り、官僚を含めた談合が行われるような下地を作った。みんなで考え、みんなで成長し、弱者を切り捨てない、そういう高度成長の一面を作りました。

岩崎弥太郎は貧乏人から成り上がり、完全なトップダウンの会社を運営し、三菱を築き上げた。

どちらの方が正しいのかという答えが出ないというのは明白です。しかし、僕らは考えるべきです。「どの程度はトップダウンでやるべきか」と、「どの程度はボトムアップでみんなで考えるべきなのか」とです。

これを、最大限大きく広げて考えれば、どこまで民主主義が通用するのかということと、共産主義をどのように混ぜるべきかということにもなります。

最小限まで小さく考えれば、それは自分の決定を、どの程度までは自分で決断し、どういったことに関しては回りの許可を求めるかという線引きでもあります。

決定するためには、「知識:情報収集」と「思考:論理」の二つの側面があります。これをどうやって混ぜるのかということになります。そして、決定するのが組織であろうと個人であろうと、「感情:心」が関係します。これを無視することはできません。

渋沢栄一と岩崎弥太郎は海運事業で正面から戦ったみたいですね。結果としては引き分けみたいです。どちらも赤字になって、会社は統合することになったとのこと。そこでできた会社が日本郵船とのことです。

 

龍馬伝&竜馬がゆく(&おーい竜馬)

幕末に身を置いております。

司馬遼太郎の小説の中で,大河ドラマのDVDと平行して楽しめそうな作品を考えた時,「竜馬がゆく」を読みながら,「龍馬伝」を見るのがよいかなと思ったわけですね。

それにしても,まっこと便利な時代です。「竜馬がゆく」の中古全巻セットもamazonでクリックすればすぐに届くし,DVDレンタルは80円~100円ですしね。少し前だったらもっと費用がかかっていました。

龍馬伝の岩崎弥太郎(香川照之)がたまりません… 長次郎の大泉洋もよかったけどね..

女優は,加尾役広末涼子,大浦のお慶さん余 貴美子が印象的です。

すみませんがこのブログはただいまただの「見ました&読みました日記」になっており,エッセイ活動は休憩中でございます。