MBTI:魂の所在を確認するための、ささやかな4つの指標
世界には、僕たちが思っているよりもずっと多くの「ラベル」が存在します。ビールのラベル、クリーニングのタグ、あるいは誰かが勝手に決めた僕らの性格の分類。
MBTIというのは、そんなラベルの中でも、比較的丁寧に作られた部類に入るものです。それは僕たちが、この奇妙で混沌とした世界で「自分という人間がどのあたりに立っているのか」を確認するための、一種の海図のようなものかもしれません。
そこには4つのアルファベットの対立があります。
1. エネルギーが向かう方角:E or I
それは、あなたがどこで呼吸を整えるかという問題です。
- E(外向型):意識の触手を外の世界へ、他人へと伸ばしていくタイプ。賑やかなパーティのあとに、なぜか活力が湧いてくる人々。
- I(内向型):深い井戸の底に潜るように、自分の内側へと沈んでいくタイプ。沈黙と孤独こそが、彼らにとっての最良のバッテリーになります。
2. 世界の捉え方:S or N
あなたは、目の前にある「スパゲッティの硬さ」を見ますか? それとも「スパゲッティが象徴する何か」を考えますか?
- S(感覚型):五感で捉えられる確かな事実、現実に起きている手触りを信じる人々。地面をしっかりと踏みしめて歩くタイプです。
- N(直覚型):物事の背後にあるパターンや、まだ見ぬ可能性を空想する人々。彼らの視線は、常に地平線の少し先を彷徨っています。
3. 判断の基準:T or F
冷たい氷のナイフで切り分けるか、温かい手のひらで包み込むか。
- T(思考型):論理的であること、客観的に正しいことを優先する人々。たとえ耳が痛い真実でも、それが真実なら採用します。
- F(感情型):それが誰の心を動かし、誰を傷つけるかを大切にする人々。調和と共感という名の、柔らかな毛布を好みます。
4. 日常のスタイル:J or P
あなたは、きれいに折りたたまれたシャツが好きですか? それとも、成り行きに任せて開け放たれた窓が好きですか?
- J(判断型):予定を立て、締め切りを守り、物事を整然とクローゼットに収めたい人々。結論が出ない状態を、彼らは何より嫌います。
- P(知覚型):結論をあえて保留にし、変化の波に身を任せることを好む人々。彼らにとって世界は、常に「書き換え可能な下書き」のようなものです。
これらの組み合わせが、あなたの「4文字のコード」を作り上げます。
もちろん、人間という複雑な存在が、たった16通りの箱に綺麗に収まるはずもありません。でも、たまにはそんなシステムに身を委ねてみるのも、悪くない選択だと僕は思います。
やれやれ、自分は一体どの箱に入っているのだろう。
そんなことを考えながら、僕はキッチンで静かにコーヒーを淹れることにします。