日本の立ち位置を、そろそろアジアや世界から見るようにしないと

ホリエモンがホームランを打ちました。この人の道徳観念はついていけないところが多いし、発言も礼儀がない時があってすごく残念ですが、得意分野を発揮するとやっぱり一目置かれる人です。

日本はかつてない「安売り」の時代に入った

富裕層に限定すれば、日本は、中国・シンガポール・タイにはもう勝てない。

今日本のGDPはアメリカの約1/4だし、中国の半分以下だし、一人あたりは世界27位の貧しさだ。

と。日本は質が高くて、そして、「安い」と。

わかりやすい。日本にいたらわからないことだけど。

すごくおいしいイタリアンが隣の国で安く食べれるとしたら、旅行に行きませんか?

行きますよね。イタリア人がちょっと眉をひそめようが気にせず食べに行きます。

日本に、中国人と韓国人とタイ人が押し寄せているのは、「質が高くて、安いから。」です。日本は経済活動が停滞してるせいで、給料が上がってないし、物価も上がっていない。そして、昔ながらの高品質、細やかなサービスが当たり前になっている。こんなよいところ、外国人が遊びに来るのは当たり前なんです。

この延長線上に何が起こるのか、イメージできます。

それは、「日本は、海外の下請けになる。」ということです。外注先です。

だって、安くていいものを作れるわけだから、お金持っている人が仕事を発注する相手になります。それは、工業製品だろうが、食品だろうが、様々な分野になるでしょう。

日本はアジアNo.1だった時代に、アジアに工場を作って人件費を抑えたりして成長することはできた。でも、成長率では、常にNo.1であり続けることはできなかった。そもそも、日本はNo.1であり続けるための努力がなされなかった、と言ってもいい。日本の会社は、海外進出して利益を上げるというのがとても苦手だ。車をアメリカに売るとかのいくらかの例外はあるにしても、基本的に得意ではない。

韓国がドラマやK-POPを世界中に売っているように、日本が日本のドラマやJ-POPを世界に売れるだろうか。もう比較にならない。LGやSamsungのように商売できるだろうか。後塵を拝している。

アメリカがamazonで世界中に商売をしているように、楽天が世界で商売ができるだろうか。お話にならない。

googleやappleのようなとんでもない企業が日本から起こるだろうか。SONYに期待するのは今となっては酷な話だ。

日本人は、日本人には商売ができるけど、海外で外国人に商売をするのは下手だ。下手すぎる。リスクを取るのが苦手だし、早い決断をするのが下手だ。だから、日本は経済が停滞している。

日本の中でだけ、うまく回っている。さすがは経済大国日本。外国のことを考えなくても日本の中でだけ物事が回ってきた。これまでずっと。

しかし、これから10年20年と、どんどんどんどん、世界が近くなってくる。アジアの人たちが押し寄せてくる。

突然タイ人がやってきて、すごく流ちょうな日本語で、「これを作ってもらうのにいくらかかりますか?」と言ってくる時代が来る。僕らが外国語を覚えなくても、向こうが日本語を覚えてやってくる。今、どのくらい海外で日本語が勉強されているか少しは知っておくべきだと思う。

先日のシャープ買収なんて、まさにこのことだ。ブログでホリエモンが書いていましたが、これは単純に悪いことではない。シャープの持っている日本人の技術は、高いお金を支払ってでも買いたい、魅力的なものだということです。

ホリエモンは、「買収」という言葉がイメージを悪くしている、「バイアウト」と言うべきだと書いていましたが、それに近いことを僕も感じます。

日本語を大切にしたい僕としては、カタカナ文字よりも、漢字で表現したい。「買収」は、「買われて、吸収されてしまう」という風に読めてしまうのでイメージが悪いのです。

台湾資本の会社で、日本人技術者が大活躍する。そしてその台湾の会社が、世界に良い製品を販売する。とてもいいことだと思います。なぜなら、日本人は世界に販売するのが下手だから。

そうすると、適切な日本語を探すとして、「会社を高い価値で売ることができた」という意味合いの言葉が欲しい。英語だとバイアウトになるということですね。

シンプルに、「会社を購入」とかどうだろうか。購入の購は、あがなうという意味です。それを手に入れるために、価値に見合った分を支払わなければならない、という雰囲気になります。

台湾のホンハイが、シャープの購入を検討した。先日、購入が決定した。日本の高い技術に見合った資金が支払われた。

うん、これならそれほど悪くないと思います。そして、役に立たない経営陣は辞めてもらって、開発部と総務などいくらかの必要な部署だけが使われたらいいと思います。翻訳チームが逆に必要になりますね。そして、経営陣という名の、お金をたくさんもらって、言いたいことだけ言って、どうすれば責任を取らなくてもいいかだけはよく知っているおじさんたちには、たんまり退職金を受け取って、日本の田舎か、タイかマレーシアにでも移住してもらって、そこで楽しく過ごしてもらいたい。是非そこで、資産や貯金を思う存分使って、経済活動に貢献してもらいたい。あんまり沢山貯金したまま亡くなって、遺産相続の税金で国に献上なんてもったいない。

あと、アジアが近くなってくる要因として、日本は若い人が少ないから、働いてくれる人を日本に来てもらおうなんていう動きがある。移民政策だ。

うまくいけばいいけど、途上国の人が、安くて素晴らしい働きをしに来てくれるというのは、少し幻想なんじゃないかと思う。

途上国の人たちは、ものすごくお金を稼ぐことに関して一生懸命だ。ほんの少しでも儲けるためにあらゆる努力をする。だから、自分たちだけが安くこき使われるということに対して、すごく敏感になる。「本当は私たちはこれぐらいもらえるはずだ」ってすぐ言い出すだろうし、「これしかもらっていないんだから、これしかしない」って絶対態度に出してくる。これは相手の立場になればごく当たり前のことだ。

日本人は、「うちらは金持ちだから、アジアの人たちをうまく使って安く働いてもらえればいいかな」なんて思っている人が少なくないと思う。そんな認識だと、いつの間にかとんでもなく世間離れした人になってしまう恐れがある。

違うんです。日本は安く使われる側に入りつつもあるんです。

それをチャンスととらえるか、「そんなバカな」と世の中を見ようとしないでいるか、それは人それぞれの問題だと思います。

そういうことに目が向けられるように、書くべきことを書いたホリエモン、この先もこの人は一定の役割を果たしていくんだろうなと思いました。良くも悪くも。

明治維新とまでは行かないけど、変化の時に日本はいる。